IAP:腹腔内圧と姿勢の維持

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なぜ腹腔内圧が姿勢の維持に重要なのかを、簡易に説明します。

 

まず、体の後ろ側は、背骨というしっかりした構造に支えられていますが、前側では、胸郭と骨盤の間には骨がありません。

また、体を引き起こす体幹の伸展筋(脊柱起立筋・横突棘筋など)は脊柱の後ろ側に位置しています。

そこで、前側からの支えとして大きな役割を果たしているのが腹腔内圧です。

イメージしやすいように、無生物ですが人体模型のテオ(愛称)くんの写真をご覧ください。

↑腹腔にあたる部分に何もないと、立てかけておくことさえできません。

↑ところが腹腔にあたる部分にボールを入れてみると、体がしっかり起きてきます。

前側のボールの圧が、骨盤と胸郭の間隙を支えることで、体幹が筒状に安定し、体は起きやすくなることがよくわかります。

 

生きている人間においても、脊柱を引き起こす後ろ側の筋の力と腹腔内圧が均衡することで、筒型の体幹の中心が押し上げられ、体が垂直方向に伸長することが可能になるのです。

特に、腹腔内圧が適切であると、背筋の過緊張を解くことにつながります。

 

このことから、楽に姿勢を保つためには、腹腔内圧が自動的に制御されるような機構を再教育する必要があります。

 

 

しかし、椅子に座る時間が長いなど、現代人のほとんどが「腹腔内圧を保つ身体の反応を再教育する必要がある」といっても過言ではないでしょう。

 

さらには、姿勢について介入するには、筋力に頼った一時的な「良い姿勢」を無理やり当てはめるのではなく、腹腔内圧とのバランスのとれた状態を地道に作り上げる必要があると言えます。

 

(胸腔にあたる部分にもボールを入れたテオくん
見えにくいですが、骨盤腔にも卓球のボールが入っています。)

(※このブログで腹腔と表現した場合、注釈がなければ腹腔骨盤腔を指します)