IAP 補足:横隔膜

IAP

(IAPを理解する上で押さえておきたい構造を補足として、こちらもシリーズ化していきます。)

横隔膜の付着部を確認してみましょう。
付着部を見ると、横隔膜の働きと胸郭・脊柱のポジションは密接な関係を持つことがわかります。

起始は3部位にわけられます。

胸骨部:剣状突起の後面

剣状突起は赤で示した胸骨の下のとんがりですね。

肋骨部:肋骨弓(第7~12肋軟骨)の後面

メモ
肋骨の前側の硝子軟骨でできた比較的柔らかいところを肋軟骨と言いますね。1~7肋軟骨は胸骨に連結しています。
そして7~10肋骨は枝分かれするようにぶら下がって、胸郭の下側の縁を形成しています。この下側の縁が肋骨弓です。
第11.12肋骨は胸骨とは連結しないで、各々腹筋群の後方で終わっていて浮遊肋と呼ばれています。
また、左右に肋骨弓が開いた部位を肋骨下角と呼び、平均角度は70~80°だそうです。

青いところが肋骨弓
緑で示したのが肋骨角

腰椎部:第1〜3腰椎の椎体、内側・外側弓状靭帯

 

これは横隔膜を下からみたところです。

赤いラインで示したのですが
横隔膜が腱状になって大腰筋と繋がっているところが内側弓状靭帯
同じように腰方形筋と繋がっているところが外側弓状靭帯です。
大腰筋と腰方形筋がこの靭帯を経て筋膜で横隔膜と連結していることがよくわかりますね。

また、腰椎に接する「脚」と言われる部分は、左側で第2腰椎、右側で第3腰椎付近まで伸びており、腰椎の安定にも関与しています。

停止は腱中心です。


青く囲った部分で、右葉と左葉、真ん中の中間葉があるのがよくわかりますね。
ちなみに中間葉の上側には心膜に覆われた心臓が位置します。

神経支配と裂孔

横隔膜の神経支配は、横隔神経(C3~5)です。
頚椎の3~5ということは、首の状態が横隔膜の働きに影響することを忘れてはいけませんね。

さらに横隔膜に3つの大きな裂孔があり、そこを大動脈・大静脈・食道が通過します。
直下に内臓が接し、上部に肺と心臓が位置します。
呼吸の状態が循環(血圧など)や消化にも影響するということも、確認しておきたい大切なことです。

 

参考文献:町田志樹著(2018)『PT・OTビジュアルテキスト専門基礎ー解剖学』坂井達雄監修、羊土社